ごあいさつ

大会長あいさつ

第18回 日本ヨーガ療法学会研究総会 札幌大会に寄せて

猪股 千代子(いのまた ちよこ)
第18回 日本ヨーガ療法学会研究総会 札幌大会大会長
日本統合医療学会 理事
日本統合医療学会 北海道東北ブロック会会長
札幌市立大学 名誉教授

医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築には、全国の統合医療従事者の果たす役割は大きくなります。専門の指導者が増え始めている医療を補完するヨーガとして、さらに現場に浸透していくカギとして、統合医療の普及が上げられます。統合医療は心と体の調和を生むケアの医療であり、その中でもヨーガは、自ら、呼吸や身体を整えることで心にもアプローチし自然治癒力を引き出すことができるため、地球環境にも経済的にも継続可能な有用な療法です。

私は2008年よりパーキンソン病(PD)や脊髄小脳変性症(SCD)などの神経難病患者のための音楽療法の効果に関する研究を行い、参加患者の心の健康に及ぼす影響を明らかにしてきました(日本音楽療法学会誌)。また、統合医療推進のための看護師の役割を、日本統合医療学会誌に公表しました。これらの基礎的研究を発展させ、多職種スタッフ(看護師・医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・音楽療法士・ヨーガ療法士・アロマ療法士)と患者会との連携の中で、疾患別の音楽療法を実施するにいたりました。日本においてこのような多職種スタッフと患者会との連携の中で音楽療法をはじめとする統合医療ケアを実施することは数少ない事業です。

今回、神経難病患者のための音楽療法実践から得られた参加者の生活の質(QOL)に及ぼす効果と統合医療の中核である癒しの看護ケア実践(ケアリングやヒーリング実践)では、以下の6点が確認されました。

  1. 病状進行に伴うQOL低下の傾向の中でQOL向上・維持が認められた。
  2. 参加患者は意識の拡張、関係性の再構築など精神的・霊的健康の向上が認められた。
  3. 多職種協同事業はスタッフのパートナーシップを深めた。
  4. ケアする人自身の気持ちは自己信頼や自他を共に大切にする価値観を伴っていた。
  5. 寄り添いや傾聴による感情面へ看護が参加患者との絆を深めていた。
  6. 癒しの環境づくりに看護師は癒し人として関わり、癒しの“場”が存在することで参加患者は希望を持ち生活していることが確認された。

上述した内容に加えて、私が主宰する「ハマナス・音楽&看護療法研究会」での神経難病患者のためのヨーガ療法実践プログラムについて、また、統合医療を多職種協同で行うことの相乗効果と課題などについて、札幌大会ご参加の皆様と共有したいと思います。

市民の皆様に生活のなかにヨーガを取り入れていただき、元気で人に優しい健康長寿社会を共に創りあげていきましょう。

 

理事長あいさつ

(一社)日本ヨーガ療法学会第18回研究総会に寄せて

一般社団法人日本ヨーガ療法学会理事長
木村 慧心(きむら けいしん)

私たちのヨーガ療法研究総会も第18回目を数えることになりました。大会長の札幌市立大学 看護学部 看護管理学領域教授 猪股千代子先生には、大会長の任をお務め頂きました。また北海道の学会認定ヨーガ療法士さんたちには2年にも及ぶ準備期間を経て、総会開催にまでこぎ着けてくださったことを改めてここに感謝させて頂きます。有り難うございました。

昨年はこのヨーガ療法の世界も大きく発展する年でした。2019年2月には世界保健機構WHOが“ヨーガ指導の基準”を策定する会議を開いて、世界各国の健康関連機関にその指導基準を伝えてくれました。これを実施したのはWHOの伝統医学と統合医療の部局で、私たちのヨーガ療法以外に既に、中国医学やアーユルヴェーダ医学の治療基準も定めていますので、私たちもそれら伝統医学と肩を並べるセラピーになったということです。世界のヨーガ・セラピスト/YTたちがこれまでの数十年を各国で努力してきた賜であると私たちは考えています。

本札幌研究総会では遠くキューバから統合医療関連で国会議員夫妻をお招きしていますが、国連でもキューバ方式の統合医療と呼称されている統合医療の本場キューバに私たちのヨーガ療法が採用されることを願っています。このヨーガ療法はインドのアーユルヴェーダ医学と一緒になってのセラピーですので、この度は永年アーユルヴェーダ医療の臨床現場で活躍されてきたビーマバット先生にもご講演を賜ることになっています。またヨーガ療法は不妊治療からホスピスまでと言われるほど、指導範囲が広いのですが、死の臨床のご専門であるカールベッカー先生にもご参加いただき、その研究調査の一端をお話しいただけることになっています。

以上の全てが私たち日本のヨーガ療法士の活動の一助になると思います。ヨーガ療法士たちそれぞれの研究発表も多数準備されています。参加の皆さん方が貴重なヨーガ療法指導情報を共有して頂けたらと思います。